お酒の合間に水を飲もう、というアドバイスはどこでも耳にします。誰もが聞いたことがあり、ほとんどの人が効くと信じています。正直に答えると、効果はあります。ただし、多くの人が思っている理由で効くわけではなく、アドバイスが示すほどの効果もありません。この記事は、二日酔いの予防と回復についての完全ガイドである「二日酔い」セクションの一部です。
この記事では、お酒と一緒に水を飲むことが実際に何をしているのか、よくある説明がなぜ誤解を招くのか、そしてこのルールに従うなら正しい活かし方は何かを解き明かします。
# よくある主張
このアドバイスの定番の形は、だいたい次のようなものです。
お酒1杯ごとに水を1杯飲みましょう。アルコールによる脱水を水が打ち消してくれるので、翌朝はすっきり目覚められます。
もっともらしく聞こえます。アルコールは脱水を起こし、水は水分を補う。だから合間に水を飲めば問題は解決するはずだ、という理屈です。残念ながら、実際はもっと複雑です。
# 実際に起きていること
アルコールは、腎臓に水分を保持するよう指示するホルモン、バソプレシンの働きを抑えることで脱水を引き起こします。バソプレシンが減ると、腎臓は飲んでいるよりも速いペースで水分を排出します。しくみの全体は二日酔いの科学で解説しました。
計算するとこうなります。
- 一般的なお酒1杯には200〜300 mlの液体が含まれています
- その1杯によって、その後の数時間でおよそ320〜500 mlの水分が尿として出ていきます
- 差し引きの不足:1杯あたり100〜200 ml
お酒と一緒に水を飲めば、その時点ではこの不足を補えます。しかし、飲んだアルコールはその後もバソプレシンを抑え続けるので、腎臓はその後数時間、飲んだばかりの水も含めて、過剰に水分を排出し続けます。余分に飲んだ水をすべて体にとどめておけるわけではありません。
おおまかに言えば、お酒と一緒に200 mlの水を飲むと、不足をある程度は補えますが、完全には補えません。それでも翌朝は脱水の状態で目覚めます。ただし、水をまったく飲まなかった場合よりは軽くすみます。
# このルールが実際に役立つところ
こうした但し書きはあっても、お酒の合間に水を飲むことは役に立ちます。ただ、その理由は水分補給よりも幅広いものです。
# 全体のペースが落ちる
こちらのほうが大きなメリットです。水とお酒を交互に飲んでいれば、本来ならお酒をもう1杯飲んでいた時間を、水のグラスに使うことになります。1時間あたりの平均の杯数が下がります。ペースが落ちれば血中アルコール濃度のピークが下がり、アセトアルデヒドがたまりにくくなり、GABAとグルタミン酸のバランスの乱れも小さくなり、二日酔いのあらゆるしくみが弱まります。水は確かに働いていますが、その大部分は時間を稼ぐ手段としての働きです。
この点の研究は、よく聞くアドバイスが示すほど厚くはありません。Joris Versterらが大量に飲むオランダの学生を対象に行った調査では、お酒と一緒に水を飲んでも、二日酔いはわずかに軽くなる程度でした。また、同じ研究者たちが学術誌「Alcohol」に発表した2024年のレビューは、水はのどの渇きや口の乾きを和らげるものの、二日酔い全体の重さを確実に軽くするわけではないと結論づけています。何らかの効果があるとすれば、その大部分は水分補給そのものではなく、ペースが落ちたことによるものです。
# 脱水がある程度軽くなる
バソプレシンが水分の再吸収を抑え続けているとしても、水をまったく飲まないよりは、少しでも飲んだほうがましです。不足は小さくなります。頭痛はわずかに軽くなり、口の渇きも軽くなります。
# セッション中のはっきりとした一時停止の合図になる
水のグラスに手を伸ばすことで、少し間をおき、意識して判断することになります。お酒の合間に水を飲む人は、そうしない人よりも、セッションの早い段階で自分の飲んだ量に気づく傾向があります。この効果は小さいものの、確かにあります。
# 早めにやめやすくなる
飲んでいる時間の一部を水で埋めていれば、単純に、夜が終わるまでの合計の杯数が少なくなるかもしれません。これが最もわかりやすいしくみです。アルコールが減れば、二日酔いも軽くなります。
# このルールが過大評価されているところ
正直な注意点をいくつか挙げます。
# 脱水を「打ち消す」わけではない
よくある説明は、単純な引き算を思わせます。実際には、アルコールが入ってこなくなった後も、バソプレシンの抑制は何時間も続きます。たくさん飲んだ夜に水を8杯飲んでも、二日酔いのない朝にはなりません。それでも、ある程度脱水した状態で目覚めます。
# アセトアルデヒドによる二日酔いは防げない
水はアセトアルデヒドの処理を速めません。水を飲んでも飲まなくても同じ量のアルコールを飲めば、肝臓はやはりアセトアルデヒドを処理しなければならず、翌朝の吐き気や頭痛は同じくらいになります。水がこの部分を軽くするのは、ペースが落ちて、結果的に合計の量が減った場合だけです。
# グルタミン酸のリバウンドは防げない
二日酔いの心の側面(不安、恐れ、考えが止まらない感じ。ハングザイエティとはで解説しています)は、アルコールが抜けた後に神経系が反動を起こすことから生じます。水はこれには何の役にも立ちません。水を飲んでも、ハングザイエティは軽くなりません。
# 「寝る前に水を1パイント一気に飲む」は、このルールの弱いバージョン
寝る前に一度にたくさんの水を飲むというアドバイスは、飲んでいる間ずっと水を飲み続けるよりも効果が弱くなります。寝る直前に500 mlを飲むと、腎臓はその後の数時間で500 mlを排出するだけで、トイレに行きたくて目が覚め、しかもまだ脱水しています。セッション中に適度な量の水を飲み続けるほうが効果的です。
# お酒の量は変わらず、飲む液体の量だけが増える人もいる
よくある失敗のパターンがあります。水とお酒を交互に飲んでルールを守った結果、いつもの倍の量の液体を飲んでしまうというものです。アルコールの摂取量は同じままで、胃の中の量が増えるだけです。そうなると、二日酔いの予防効果はそれ以上積み重なりません。
# このルールの正しい活かし方
お酒の合間に水を飲むルールに従うなら、最も効果的なやり方は次のとおりです。
# 最後にまとめてではなく、セッションを通してペースを保つ
お酒1杯ごとに水を1杯、同じ時間帯に飲みましょう。ビールを7杯飲んだ後の深夜0時に、水を5杯飲むのではありません。ペースを落とすメリットは、水を飲む時間がセッションの最中にある場合にだけ得られます。
# お酒は早めに切り上げ、寝るまでの時間は水を飲む
寝る2時間前に飲むのをやめ、その2時間で水を飲んで軽く何か食べれば、寝る直前までお酒と水の両方を飲んでいた場合よりも、翌朝はかなり楽になります。水の合計の量よりも、お酒をやめてから寝るまでの時間のほうが重要です。
# たくさん飲めるようになると期待しない
このルールは、同じ量を飲んだときの二日酔いを軽くするものです。たくさん飲んでも何の影響もなくなるわけではありません。水を交互にはさんで6パイント飲めば、6パイントだけを飲むより二日酔いは軽くなりますが、それでも本物の二日酔いです。その代償は、いずれ必ず払うことになります。
# ほかの妥当な対策と組み合わせる
一緒に水を飲むこと、胃に食べ物を入れておくこと、コンジェナーの少ないお酒を選ぶこと、早めにやめること。これらはすべて効果が積み重なります。どれも単独では二日酔いの予防にはなりませんが、組み合わせれば翌朝ははっきりと楽になります。
# 水の代わりに電解質ドリンクはどうか
電解質ドリンク(Pedialyte、Liquid IV、経口補水塩)は、ただの水よりもわずかに効果的です。特に、腎臓が水分と一緒に排出しているナトリウムとカリウムを補う点で優れています。飲んでいる最中に使うことについてのエビデンスは、翌朝に使うことについてのエビデンスより少ないものの、理屈は同じように当てはまります。
実用的な補足:お酒と一緒に電解質ドリンクを飲むのは役に立つことがありますが、塩気のあるつまみ(ピーナッツ、ポテトチップス、オリーブ)とただの水でも、ほぼ同じことがもっと安くできます。選択肢は電解質と二日酔いで解説しています。
# AlcoLogがペースを落とすメリットをどう支えるか
お酒の合間に水を飲むルールの最大のメリットは、全体のペースが落ちることです。AlcoLogはすべてのドリンクを時刻付きで記録するので、セッション中は統計の行に1時間あたりの杯数がリアルタイムで表示されます。
水分補給リマインダーは「通知」タブで設定でき、時間の間隔ごと、ドリンクの杯数ごと、またはその両方から選べます。1杯ごと(または30分ごと)に届くように設定すれば、水も一緒に記録するよう促されるので、お酒のペースから一歩離れられるうえに、実際にどれだけ水を飲んでいるかも記録できます。
水はセッションのタイムラインにお酒と並んで表示されるので、セッションの終わりに、実際に保てた比率を確認できます。時間がたつにつれて、「履歴」を見れば、水を交互に飲んだセッションで二日酔いが安定して軽くなっていたかどうかがわかります。
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