シンクレア法には、2つの時間軸があります。日々の時間軸では、セッションの前に毎回正しく錠剤を服用したか。月単位の時間軸では、飲みたい衝動が本当に薄れているか。どちらの問いにも、途中で記録するデータが答えてくれます。記録がなければ、どちらについても推測するしかありません。記録があれば、数か月後には推移が見えるようになり、服用法の効果は一目瞭然になります。この記事は、アルコール使用障害に対するナルトレキソンの使い方をまとめた「ナルトレキソン」セクションの一部です。
この記事では、シンクレア法の間に何を記録するか、最初の6か月で自分のデータをどう読み取るか、そしてAlcoLogの具体的な機能がその作業にどう対応するかを順に説明します。シンクレア法の解説を読んで、本格的に試してみると決めたなら、記録がどう組み込まれるかをここで説明します。
# 実際に記録する必要があること
飲酒のセッションごとに、最低限記録することは次のとおりです。
- 錠剤を服用したかどうか(はい/いいえ)
- 服用から最初の1杯までの時間の間隔(本当に1時間だったか? ぎりぎりまで忘れていて20分だったのでは?)
- 何杯飲んだか(セッションごとの杯数が時間とともに変わるかを確認するため)
- セッションがどれくらい続いたか(追加の服用が必要だったかを知るため)
- 任意:場所(自宅、パブ、友人の家。ここからパターンが見えてきます)
セッションごとに5つの項目です。すばやく記録できれば、5秒の手間です。
シンクレア法のために特に記録する必要がないもの:主観的な評価、気分のスコア、「衝動の強さ」のスライダー、何を食べたか、誰と一緒だったか。どれも服用法のエビデンスの基盤には含まれていません。シンクレア法が効くのは、服用と飲酒の関係のおかげで、それを主観的にどう感じたかのおかげではありません。項目を増やすと、記録疲れを起こして、記録そのものをやめてしまう原因になります。
上の5つは、公表されているシンクレア法の試験の手順で測定されていた項目です。これで十分です。
# AlcoLogでセッションを記録する方法
流れは次のとおりです。
- 正しいタイミングでナルトレキソンの錠剤を服用します。 AlcoLogの薬のカードを開き、ナルトレキソンをタップして、服用量を記録します。24時間表記の時刻ピッカーで、正確な時刻が記録されます。
- 約1時間後に、セッションを始めます。 ホーム画面をワンタップすると、タイマーが始まります。飲んでいる間、時:分:秒の時計が進みます。
- 飲むたびに、1杯ずつ記録します。 カタログ(1174種類のドリンク、92のサイズのプリセット)から選ぶか、同じ種類のお酒を飲み続けるなら、クイック追加で「同じものをもう1杯」を使います。各ドリンクには自動でタイムスタンプが記録されます。
- 飲み終えたら、セッションを終了します。 ワンタップです。セッションはすべてのデータを保ったまま、履歴に移ります。
セッションごとの作業は、合計でおよそ20〜30秒のタップです。スマートフォンで時刻を確認するより短い時間です。
# 最初の1か月のデータの読み取り方
最初の1か月は、データが少なく、副作用が最もつらい時期(どこまでがふつうかはナルトレキソンの副作用のガイドを参照)なので、最も読み取りにくい時期です。注目することは次のとおりです。
服用の継続率。 最初の1か月の飲酒のセッションのうち、正しいタイミングでナルトレキソンを服用できたのは何%でしたか? 80%以上を目指しましょう。50%を下回るなら、それは実質的にシンクレア法ではなく、ときどきナルトレキソンを飲んでいるだけで、経過の見通しは当てはまりません。
AlcoLogでは、薬のカードに過去24時間の服用が表示され、セッションのタイムラインに飲んだお酒が表示されます。この2つを自分で突き合わせるのが、パターンに気づく最も簡単な方法です。木曜日に限って服用を忘れていなかったか? 金曜日の仕事帰りがいつも飲み忘れていなかったか?
副作用が薄れていくこと。 1週目:吐き気が毎日あるかもしれません。2週目:薄れていきます。3週目:ほとんどの人が元の状態に戻ります。副作用がよくなるどころか悪化するなら、処方医に相談する価値があります。
飲酒量。 1か月目はおそらく変わりません。深読みしないようにしましょう。服用法の行動面の効果は、6〜12週目になるまで、ほとんど表れません。
# 3か月目のデータの読み取り方
ほとんどの処方医が経過を確認したいと考える、標準的な確認のタイミングです。AlcoLogの推移のグラフを開き、3か月に設定して、次の点を見ましょう。
セッションごとの杯数。 予想されるパターンは、ゆるやかな減少傾向です。COMBINE試験とシンクレア法の公表されている成果の両方で、きちんと服用した患者では、3か月目までにセッションごとの杯数が20〜40%減ることが示されています。推移のグラフがそうなっていれば、予想の範囲内です。横ばいなら、2つの可能性があります。
- 服用の継続率が、自分で思っているより低かった。薬の記録と照らし合わせましょう。
- 反応がゆっくりなタイプである。4〜5か月目ごろに、遅れて変化が表れる患者もいます。
セッションの頻度。 3か月目で変わる可能性は低めです。ほとんどの人は、最初の数か月を通して1週間に飲む回数は変わらず、衝動が薄れるにつれて、後になってから頻度が減ります。
1週間の合計杯数。 セッションごとの杯数と並べて注目する価値のある、総合的な指標です。1週間のセッションの回数が変わらなくても、セッションごとの杯数が減っていれば、合計杯数も減ります。それは服用法が効いている証拠です。
AlcoLogでは、推移のグラフに重ねて表示される移動平均が、個々のセッションのばらつきをならしてくれます。指標に「杯数」、期間に「3か月」を選び、移動平均の現在の値と1週目の値を比べてみましょう。
# 6か月目のデータの読み取り方
6か月目までに、より深い変化がたいてい見えてきます。注目することは次のとおりです。
1週間のセッションの回数が減り始めること。 これは、多くの人が生活の中で最初に気づく変化です。以前は月曜日、水曜日、金曜日、土曜日に飲んでいたのが、今は水曜日と土曜日になっている。飲まずにいられない感覚が和らぎ、薬が効いています。
セッションごとの杯数がさらに減り続けること。 6か月目までに、開始時と比べて40〜60%ほど減ることがよくあります。
意識しなくても禁酒日が現れ始めること。 AlcoLogのカレンダーのヒートマップ(履歴の画面にあります)は、日ごとの強度を色の濃さで表示します。6か月目になると、最初の数か月は色が詰まっていたカレンダーに、ふつうは目に見える空白が生まれています。
禁酒日のトロフィーの絵文字。 AlcoLogは、連続記録の中の禁酒日に🏆を、2日以上の連続記録に星をつけます。6か月目になると、それらがまとまって現れ始めます。
処方医の多くが見直しを行い、続けるかどうかを話し合うのも、この時期です。AlcoLogのデータを持っていきましょう。セッションのCSVの書き出しはPremiumで利用でき(直近10セッションは無料)、印刷できる形式ならPDFレポートもあります。ほとんどの処方医は、これほど詳しい自己記録のデータをあまり見たことがなく、役に立つと感じます。
# 12か月目以降のデータの読み取り方
1年たつと、3つのパターンが見えてきます。
パターンA:大幅な減少。 セッションの回数は開始時のおよそ半分。セッションごとの杯数もおよそ半分。アルコールの総摂取量は開始時のおよそ4分の1です。お酒は飲みますが、もう飲まずにいられないものではありません。シンクレア法の患者の多くは、ここに落ち着きます。
パターンB:自然な断酒。 シンクレア法の患者の一部は、衝動が薄れるにつれて、もともとの目標ではなかったのに、完全にやめることになります。飲酒がないので、薬が強めるものも何もありません。保険として錠剤を続ける人もいれば、やめる人もいます。
パターンC:少量での安定。 飲酒は適度で、一定しています。これ以上よくなることはないものの、問題もありません。維持のための道具として、セッションの前にナルトレキソンを服用しながら、期限を決めずにここにとどまる患者もいます。
3つとも妥当な結果です。この服用法は、どれかひとつに向かわせるように作られてはいません。
# 医師と共有すること
経過観察の診察に持っていくと役立つものは次のとおりです。
- 服用の継続率。「この1か月、飲酒のセッションのX%で、正しく錠剤を服用しました」
- セッションごとの杯数の推移。 AlcoLogの推移のグラフ(スクリーンショット)かCSVの書き出し。
- 副作用のまとめ。 何に気づいたか、いつ薄れたか。
- 気になっていること。 飲み忘れ、忘れやすいパターン、予想より長引いたセッション。
データを用意しておけば、15分の診察で、これらすべてを話し合う時間は十分にあります。データがなければ、記憶を頼りに言い換えることになり、話し合いはあいまいになりがちです。
# 推移が順調でも記録が役立つ理由
シンクレア法がはっきり効いているときでも、6か月目の変化を9か月目ではなく6か月目に起こすのは、毎日きちんと服用することです。記録には、3つの具体的な価値があります。
- ずれに早く気づける。 1週間分の飲み忘れは、記憶の中では見逃しやすいものの、服用の記録でははっきりわかります。ずれがパターンになる前に修正できます。
- 自分自身への証拠になる。 最初の6〜8週間は、何も起きていないように感じます。データはそうではないことを示します。小さな減少でも、週ごとの比較なら見えます。長い横ばいの時期に、気持ちを支えてくれます。
- 「効いているのか?」という疑問がなくなる。 推測する必要はありません。グラフを読めばいいのです。
# AlcoLogが記録にどう役立つか
AlcoScoreは、あえて薬の使用をスコアの計算に含めていません。そのため、シンクレア法の服用の継続は、人目につくスコアに反映されるのではなく、あなた自身のための情報になります。アプリの考え方はこうです。薬はあなたが選んで使う道具であり、アプリが採点すべき行動ではありません。服用の記録はあなた自身のための情報で、スコアのための情報ではありません。
データはすべてデバイスに保存されます。アカウントも、メールアドレスも、ログインもありません。直近10セッションのCSVの書き出しは無料です。処方医に見せるために印刷したい場合は、Premiumで無制限のCSVとPDFレポートを利用できます。
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